P118~119
【よりいっそう根本的な本質】
しかしわれわれはさらにその次の認識、よりすすんだ認識を必要としている。
よく考えてみると中曽根内閣の悪政のほかにもこれらの現象をひきおこしている本質的なものがあることに気づく。
それは日本独占資本のあくなき利潤追求の営利活動であり、さらにはアメリカ独占資本の動きである。そしてこの段階で必要なことは中曽根内閣の悪政と日本独占資本の活動との関連を把握することである。
そうして考えてみると、独占資本の活動こそはいっそう根本的な本質の一形態であり、独占資本こそは中曽根内閣の現在の政策を遂行せしめている根本的要因であることがわかる。しかもそれは偶然のことではなく、独占資本が政府に現在の政策をとらしめていることの必然性を把握することがさらに重要であり、いっそう進んだ認識である。
こうやって現象をとおして本質的なものを明らかにし、さらに多様な本質的なもののなかからなにがより根本的な本質かを明らかにすることが必要である。
引用:
現代の社会観 浜林正夫編
現代の社会科学① 学習の友社 1987年
第二章 社会と歴史についての科学
第三節 社会と歴史における本質と現象
鰺坂 真
PR