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2025-04-20 01:37

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資本主義的商品生産(4)

2009-12-04 16:42

P8~9
 
 かくして、商品交換の発展と同時に、商品の二要因が作用し、価値が交換の量的比率を規制する。すでに価値は抽象的人間的労働であることを説明した。これは商品に支出した労働の等一性、共通者として抽象されているかぎり、その商品の生産に社会的に必要な労働あるいは労働時間と考えてよい。この社会的必要労働が商品の価値を規定するのである。この価値が商品の生産と交換を根本的に規制し、法則として作用する。
 
 したがって、この価値法則が商品生産を全面的に規制するような段階に達するとき、はじめて商品生産は一般化されるし、次のような二点が浮上する。
 
 第一は商品生産の無政府性にたいする調整作用である。社会的分業は私的労働すなわち生産手段の私有制を前提とする、分散的な生産の社会的相互依存体制であり、したがって商品生産は無政府的である。この無政府性にたいして価値法則は一つの外的・強制力として調整作用する。このメカニズムは次章で詳しく論ずることとする。
 
 第二は価値が自立化すなわち貨幣に結晶して(この点も詳説は次章にゆずる)、価値が富の対象となることである。
 
先述したように、価値は人間労働の支出であり、すべての商品に共通する性格をもつ。いわば価値は労働生産物が社会へ登場するのに並行して、それに社会的性格を付与し、他のすべての商品と代替できる権利を与えたのである。
 
生産物が使用価値に限定されるかぎり、その生産物にたいする欲求は対面者の気分に左右され、交換は局部的である。しかし今や生産物は商品として使用価値とともに価値をもつ、社会的性格を付与されたのである。しかも価値は貨幣に結晶し、この価値の現象形態としての貨幣は、いっさいの商品と無限の代替性をもつにいたる。価値の普遍的性格が完成する。
 
こうして発展した商品生産は、この価値―貨幣―富を求めて、稼動し始める。商品生産が一般化するような資本主義社会が、富に拝跪して、拝金主義となるのは、このためである。
 
 
 
引用:
資本主義発展の基本理論  金子貞吉著
青木書店 1980年
 
 

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